2014年11月15日土曜日

人の不幸を食い物にするなんて、いただけません!

映画「ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ」見てきました。
結論から言うと、最高傑作でした。
大学の友人と3人で行ったのですが、大号泣してしまい、ただでさえ幼女たちの中で異質な存在だったのに、最後の方は隣の女児にもなんだこいつ的視線を浴びてしまいました。でも、そんな視線を浴びても涙を抑えることが出来ないくらい、本当に素晴らしい作品でした。
このブログ読んでいる人でプリキュア見ている人はいないと思うので、思う存分ネタバレしつつ感想や考察を書いていこうと思います。

今回のこの映画のテーマはずばり、「プリキュアは本当にみんなを幸せにすることが出来るのか?」です。
今回のゲストキャラ・つむぎちゃんは突然足が動かなくなる難病によりバレエを踊ることが出来なくなってしまい、その現実から逃げたいという願いにより、幻影帝国幹部ブラックファングが作り上げた虚構の世界である人形の国に閉じこもります。そんな世界からつむぎちゃんを助けようとするラブリーに、「 簡単に助けるなんて言わないで!」と言ってしまうつむぎちゃん。ここでラブリーが大きな壁にぶつかります。それが今回のテーマである、「プリキュアは本当にみんなを幸せにすることができるのか?自分の力ではどうしようもない不幸に苦しむ人を救えるのか?」という問題です。

今まで「助けてあげる!ハピネス注入!」と簡単に言ってきたラブリー。それは決して悪い事ではありません。ラブリーは本当に、みんなを助けたい、みんなにハピネスを届けてあげたいという思いでプリキュアをやってきました。それはきっと、歴代のどのプリキュアも思ってきたことです。でも、プリキュアにも出来ないことはあります。つむぎちゃんのような難病を治すことは、いくらプリキュアでも出来ないことです。この問題に、ラブリーは真正面からぶつかって、プリキュアらしい答えを出しました。

つむぎちゃんに、事情を知らずに簡単に「助けてあげる」と言ったことを素直に謝り、でもその上で、つむぎちゃんに幸せになってもらうことをあきらめたくない、何とかしたい、と泣きながら訴えました。 私もここで思い切り泣いてしまいました。この台詞はラブリーが言ったからこそ、ここまで胸に響くのだと思います。つむぎちゃんに真正面から拒まれて、どうすればいいのか分からなくなり挫折し、それでもヒメやゆうゆうやいおなちゃんに励まされ、悩んで悩んで、悩みぬいて涙ながらに出した答えだから、私たち視聴者やつむぎちゃんの心に響いたのだと思います。テレビシリーズではちょっとキャラが弱い、と言われていたラブリーでしたが、この映画ではラブリーのラブリーらしさがしっかり描かれていると感じた瞬間でした。

後半は終始泣いていたのですが、特に泣いたのがジーク達人形がブラックファングに特攻する場面です。「つむぎにはなんてことない事かもしれないけど、僕達にとってはこの上ない幸せだった」と言ってジークが消えてしまった時、号泣してしまいました。家に帰ったらすぐ昔大切にしてたおもちゃや人形をひっぱりだして、ありがとうって言わなきゃ!と思いました。もしかしたら大人の方がこのシーンは心に響くのかもしれません。
そして映画ではお馴染みとなってきた、ミラクルライトによる応援。劇場で実際に子供たちがミラクルライトを振って応援し、それによってプリキュアにパワーが宿って敵を倒す、というのが今までの恒例でした。しかし、今回はこのミラクルライトが効かないのです。ブラックファングの操る不幸の糸により、そのパワーが阻まれてしまうのだとか。でも、つむぎちゃんが心の底からラブリーを応援した時、不幸の糸が幸せの糸に変わり、ラブリーがスーパーハピネスラブリーと変身します。これは新しい演出でした。ただ、子供たちからしたらちょっと不満だったかもしれません。この最終戦闘で流れる挿入歌「勇気が生まれる場所」が、もう本当にいい歌でした。 劇場では泣きながらCD買おうと思いましたが、冷静になってみるとお金が無いのでツタヤでレンタルしようと思います。

長くなってしまいましたが、本当に本当にいい映画でした。作画もすごくよかったし、前作に比べてキャラの描写も丁寧で、ストーリーも申し分ないです。ただ、劇場で見た感想として、子供たちがあまり楽しんでないのかな、という印象は受けました。ふなっしーが出てきたときはあちこちで歓声が上がっていましたが、もしかしたら大人の方が楽しめる内容なのかもしれません。プリキュアを見ていない人でも、この映画には心に響くものがいっぱい詰まっているのではないかと思います。ハピネス注入!って簡単に言ってるけど、現実問題うまくいかないことや、どうしようもない不幸もある。でも、それは自分だけじゃなくて、周りのみんなも同じで、それでも支えてくれたりそばにいてくれる誰かは必ずいるから、幸せになることをあきらめないで頑張ろう。みたいな。そんな感じのエールを感じました。ここにきて語彙力の無さ、文章能力の低さが露呈してしまいました。でもとにかく、本当に本当にいい映画だったと思います!

そういえば、こないだファイナルと言っていたはずのプリキュアオールスターまたやるらしいです。ファイナルじゃないじゃん!と文句言いながらも、多分見に行くと思います。次はダンスや歌が主体ということで、映画館でヌルヌル動く3D映像を楽しみにしています。来月はアイカツもあるし忙しくなってきたぞ。また映画館で異質な存在になりそうです。おわり。


2014年11月3日月曜日

帰ってきたら、おかえりなさいと言ってあげるわ。

先日、東京国際映画祭「庵野秀明の世界」に行ってきました。
これまでのテレビアニメ・劇場公開作品に加え、学生時代に自主制作した貴重な短編・CM・PV等を含めた約50作品もの大型特集上映となりました。
個人的にはジャイアントロボや王立宇宙軍など、他にもたくさん見たいものはあったのですが、時間とお金の都合上トップをねらえ!だけ見てきました。やばかったです。見に来て本当によかったと思いました。

トップをねらえ!は1988年、ガイナックスにより1話30分のOVAとして製作されたSFロボットアニメです。監督はもちろん庵野秀明、原作脚本岡田斗司夫、キャラクター原案美樹本晴彦など錚々たるメンツです。そうそうたるってこの漢字でいいのかな。とにかくすごいメンツですよね。
題名から分かる通り、有名映画や昭和アニメのパロディ・オマージュなどのネタが序盤から詰め込まれています。しかし、根底にはしっかりとしたSF設定がされていて、それが全6話の中で上手に構成されています。
特に顕著なのはウラシマエフェクトというSF設定。ノリコはほとんどの時間を宇宙空間での戦闘に費やすため、地球に残る人々とどんどん年齢が離れて行ってしまいます。一番の親友だったキミコは一児の母になっているし、一緒に闘っていたカズミお姉さまとも最終話では15年の差が出来てしまいます。大切な人を守るために闘っているのに、大切な人と同じ時間を過ごすことが出来ない。この描写が非常にリアルで残酷です。最終話では、ガンバスターの縮潰炉を起爆装置にするため、ノリコとカズミがブラックホールに出撃するのですが、二人が地球に戻る頃には12000年の歳月が流れることになります。たまらずユングが追いかけてきて二人を引き留めるのですが、ノリコは「でも…みんなは同じ時をすごせるわ」、カズミは「さよならは言わないわ」と出撃を決意。ここでボロボロ泣いてしまいました。この時のユングの台詞を、今回の題名にしました。トップは名言がありすぎて、どの台詞にするか悩んだのですが、この台詞が一番心に響いたので。
ついにガンバスターは中心部に到達し、起爆装置の爆破に成功します。そして二人は12000年後の地球に戻ってくるのですが、灯りはひとつもなく、二人は人類が滅亡したのだと愕然とします。そんな地球に、ポツリ、ポツリと少しずつ灯りが現れ始めます。浮かび上がってきたのは「オカエリナサイ」の文字。初めてテレビで見た時よりも泣いてしまいました。 そしてここでようやく、今まで白黒で描かれていた6話で初めて、カラーの地球が描かれます。演出がうまいです。
オカエリナサイのイは左右反転なのですが、これは特定の文字文化が衰退してしまい、その時点で解読が困難だったかららしいです。私はユングがロシア人だから間違えちゃったのかと考えていたのですが。何度見てもこのシーンは感動します。スクリーンで見れて本当によかったと思いました。

久しぶりに見たのですが、やっぱりトップ最高!以外の言葉が出ません。語彙力が無いのが悔しいです。やっぱりSFものは映画館で見るのとテレビで見るのとでは全く違うなあと改めて痛感しました。機会があれば、また映画館でやってくれたらいいのになあ。
全然違う話になりますが、トップのあとに食べた焼き肉とビールが最高でした。焼き肉食べたい。おわり。